新しい一年の始まりはいつもやる気にあふれ、これからどんなドラマが起こるだろうかと期待が膨らみます。毎年、こんな思いに駆られるのは、大きな可能性を秘めた新入園児との出会いと、これまで着実に成長を重ねてきた進級児たちと一緒に過ごした時間があるからです。そんな素晴らしい子どもたちの未来に私たちが願うこと・・・
それは「一人一人が豊かな人生を歩んで欲しい」これに尽きます。
そうは言ってもどうすれば豊かな人生になるのかは難しいテーマですね。私は、幼稚園で繰り返し行う挨拶などの基本的生活習慣、遊ぶ・歌う・描く・運動する・作るといった活動やコミュニケーション、力を合わせる、我慢するといった関わりを通して生まれる経験から手に入れた知識・技能・心の力を発揮しながら成功体験を重ねることが必要だと思っています。
しかし、いくつもの成功体験を手に入れるためには何度も挑戦しなくてはならず、挑戦には失敗がつきものです。そこであきらめるか？それでももう一度挑戦するか？この選択を迫られたときにめげずに後者を選択できる人は成功体験を重ねるチャンスも増えていきます。ここで「めげない」ことがポイントです。そのためには「自分はこれをやりたい」「こうなりたい」という夢（意欲・希望）と「自分ならやれると」という自信を持っていることが重要です。その自信を育てるには、夢を語ったときに一緒に期待を膨らませてくれたり、失敗しても笑顔で受け止めてもらい次はどうしたら成功に近づけるかを助言してもらえることで「自分は愛され必要とされている存在だ」と自己確認することが大切です。また、人の役に立った、喜んでもらえたと実感する経験が多いこともプラスに働きます。もちろん、相手にとって嬉しい行いでなければなりません。
国際医療 NGO「ジャパンハート」を創設された吉岡秀人さんの講演　を聞いた折に「患者さんが喜んでくれることに幸せを感じている。だから自分が幸せになるためにやっている」と仰っていました。
また、若い頃から「発展途上国へ行って医療を行うことが夢だ」と話されていたそうです。想像を絶する厳しい現場にあっても、正に夢と自己確認の力で豊かな人生を歩んでいるのだろうと感じました。私たちは、子どもたち一人ひとりの進む道は違っても自分の力を信じて挑戦し続け、豊かな人生を歩んでいくための土台が育つよう精一杯に教育・保育を行っていきたいと思っています。微力ではありますが一年間ご理解とご協力をお願いいたします。